今なぜ太陽光発電?  
     
  太陽光発電は、「太陽電池」と呼ばれる装置を用いて、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方式です。

地球上に到達する太陽光のエネルギー量は1m2当たり約1kWという膨大な量です。

もしも地球に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できるとしたら、世界の年間消費エネルギーを、なんとわずか1時間でまかなうことができるそうです。

これほど巨大なエネルギーでありながら、枯渇する心配がありません。

日本は、石油や石炭などのエネルギー資源の大半を外国からの輸入に頼っています。

こうした化石燃料は、当然使い続ければいずれなくなってしまいます。

太陽の光という無尽蔵のエネルギーを活用する太陽光発電は、年々深刻化するエネルギー資源問題の有力な解決策の一つです。

また、クリーンであることも大きな特長です。

発電の際に地球温暖化の原因とされている二酸化炭素(CO2)も発電時にはまったく排出しません。

エネルギー源の確保が簡単で、地球にもやさしいのが太陽光発電です。

日本は、世界でもトップクラスの太陽光発電技術を有する国でもあり、その導入量のさらなる増加が期待されていま
す。
 
 
 

クリーンで無尽蔵にふりそそぐ太陽エネルギー
地球全体が太陽から受けるエネルギーは、地表や海面で熱に変わり、ごく一部が風や波、海流などを起こすエネルギー源となります。なお、化石燃料も太陽エネルギーが地中に蓄積されたものです。


地球上のクリーンエネルギー源の比較
エネルギー量
水 力 毎秒 5 億Kcal
潮汐流 毎秒 7 億Kcal
地 熱 毎秒 77 億Kcal
風 波 毎秒 880 億Kcal
太陽光 毎秒 420,000 億Kcal

 
 
   
  太陽光発電のメリット  
  太陽光発電の主なメリットとしては、次の3つが上げられます。  
     
  メリット1:クリーンで枯渇しない  
  太陽光発電の最大のメリットは、エネルギー源が無尽蔵で、クリーンである点です。

石油を燃焼させて電気を起こす火力発電のように、発電時にCO2(二酸化炭素)や、SOX(硫黄酸化物)、NOX(窒素酸化物)などの大気汚染物質を発生させることがありません。

原子力発電に関しては、もう説明の必要はないと思います。
 
     
  メリット2:設置場所を選ばない  
  太陽光発電は、導入するシステムの規模に関係なく発電効率が一定です。

設置する場所の広さに合わせて自由に規模を決めることができるため、一般家庭から大規模施設まで、それぞれの施設に合ったシステムを設置することができます。

騒音や排出物もないので、日射量さえ確保できれば、設置場所を選びません。

屋根や屋上などへの設置のほか、近年ではビルの壁に設置するケースも増えています。
 
   
  メリット3:メンテナンスが簡単  
  太陽光発電システムは構造的にシンプルであるため、ほかの発電システムに比べメンテナンスも簡単です。

システムの寿命も比較的長く、現在、太陽光発電に用いられる太陽電池の耐用年数は、20年以上とされています(設置場所などの諸条件によって変わります)。
 
     
 
 
   太陽電池とは  
     
  太陽電池のしくみ  
  太陽光発電システムの中心になっているのが、太陽電池です。

太陽電池は、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換器です。

シリコンなどの半導体で作られており、この半導体に光が当たると、日射強度に比例して発電します。

「電池」という名前がついていますが、電気をためる機能はありません。

ちなみに、太陽光発電は英語ではPhotovoltaic(PV)と呼ばれています。
 
     
  太陽電池の原理  
  太陽電池の原理  
  現在最も多く使われている太陽電池は、シリコン系太陽電池です。

この太陽電池では、電気的な性質の異なる2種類(p型、n型)の半導体を重ね合わせた構造をしています。

太陽電池に太陽の光が当たると、電子(−)と正孔(+)が発生し、正孔はp型半導体へ、電子はn型半導体側へ引き寄せられます。

このため、表面と裏面につけた電極に電球やモータのような負荷をつなぐと電流が流れ出します。
 
     
  太陽電池の種類   
     
  太陽電池には、使われる素材や構造によっていろいろな種類があります。

開発中のものを含めると多岐にわたりますが、ここでは現在普及が進んでいるものを中心に紹介しましょう。
 
 
■シリコン系
結晶系 単結晶シリコン太陽電池
多結晶シリコン太陽電池
 
単結晶または多結晶のシリコン基板を使用したタイプで、現在、最もたくさん生産されているタイプの太陽電池です。

特に、単結晶シリコン太陽電池は、発電量に関し現在もっとも良いとされていますが、コストが高くなるため、日本国内では多結晶シリコンを使用しているメーカーが多いようです。
非結晶質系 アモルファスシリコン太陽電池 ガラス、または金属等の基板の上に、薄膜状のアモルファスシリコンを形成させて作ります。将来の低価格化が期待されている太陽電池です。
■化合物半導体系
結晶系 単結晶化合物半導体太陽電池
多結晶化合物半導体太陽電池
化合物半導体太陽電池とは複数の元素を主原料としたもので、単結晶と多結晶のものがあります。単結晶の太陽電池には、人工衛星などの特殊用途に使われているものなどがあります。多結晶のものには、用途や使用方法に合わせて多様な材料や構造のものがあります。
 
  ※上記以外にも、異なる性質の材料を組み合わせたハイブリッド型など、いろいろな太陽電池があります。